初めて見るお祭りに初めて参加したお祭りと私

北海道に転勤した年の夏、地元から「あんどん祭りに参加してみませんか?」と、お祭りへの参加のお誘いが職場にあった。

せっかくのお誘いなので、思い切って職場として参加してみることにした。

そもそも「地元のあんどん祭り」とは、北海道三大あんどん祭りのひとつで、道内唯一の喧嘩あんどん。大小十数基のあんどんが夜の街を練り歩くお祭り。

お祭りのクライマックスは大型あんどん同士のぶつけ合い。

迫力満点で、まだ、お祭りを見たことがない我々は、お祭りに参加することをとても楽しみにしていた。

お祭りが近くなったある日、職場で衣装合わせがあった。

一緒に参加する職場の人達も私と同様、緊張している様子。

いよいよお祭りの日がやってきた。

職場から会場までは、数十キロあり、職場の皆さんと一緒にマイカーに分乗して、祭りを行う街へと向かった。

あんどん行列は、あんどんを保管している建物からスタートし、街の中心部に向かうのだが、スタート当初から坂道が急勾配で、思いっきり力を入れてもなかなかあんどんは動かない。

この調子では、最後まであんどん行列を続けられるか心配になってきた。

あんどんの扱いに慣れてきた我々は、力を合わせることができ、あんどんは、なんとか街の中心部へと向かうことができた。

街の中心部では、あんどんを回転させる技を披露しており、私たちのあんどんにも回転に挑戦する順番がやってきた。

私もあんどんを回転させるひとり。何回か回転しているうちに周りを見渡すと、回しているひとは、私しかいなかった。私も、回転をやめ、あんどんから離れた。

もちろん、私には回転させる技はなく、どうして私ひとりだけ残ったのかが良く分からなかった。思わず心の中で、苦笑いをしてしまった。

あとで聞いた話では、私があんどんから手を放すのが遅れたのが原因だと分かった。

ようやくあんどんの登場。どちらのあんどんも立派なあんどん。

いよいよ、あんどんのぶつけ合いが始まった。

もったいない気がしたが、あんどんのぶつけ合いで、あんどんは無残にもバラバラになってしまった。

壊れたあんどんをどうするのかと思いきや、すぐさま代わりのあんどんが取り付けられ、2度目のぶつけ合いが始まった。

初めてあんどんのぶつけあいを見る私は、その荒々しさに圧倒された。

その後、無事お祭りは終わり、打ち上げ会に参加して無事自宅に着くことができた。

体力を使う、かなりきついお祭りの参加だったが、私にとっては、ほろ苦い体験だった。その後、転勤して、引っ越したが、また参加してみたいお祭りだった。