ドヴォルザークの平和的スキャンダラスエピソード

クラシック作曲家には波乱万丈な生涯を送った人がほとんどで、スキャンダラスな話題に事欠かない人だらけの世界であり、むしろ平凡なエピソードしかない人の方が変わっているぐらいです。

数多い作曲家の中でも特にスキャンダラスなエピソードが無い事で有名なのが、チェコの作曲家ドヴォルザークです。

彼の曲は日本でとても人気があり、代表曲の交響曲第九番「新世界より」は二楽章のメロディに歌詞をつけた「家路より」という歌が作られる程日本人に愛されている曲です。

彼は作曲家の中でも随一のメロディメーカーとして知られ、かのブラームスにして「彼の捨てられた楽譜だけでも、曲が丸々一曲出来る」と言わせた程です。

そんな彼にもスキャンダラスなエピソードとして残っているものが一つあります。

彼はかなりの鉄道ヲタクで、休日には実際に鉄道に乗りに行ったり、鉄道の写真を撮りまくったりと、かなりの鉄道ヲタクでした。

ある時、駅に自分の好きな鉄道が来ており、当然鉄道ヲタクの彼は、その鉄道を写真におさめたいと思っていました。しかし、彼はその時重要な仕事を抱えており、写真を撮りに行きたくても行けない状況でした。

そこで、弟子の作曲家スークに鉄道の写真を撮りに行かせたのですが、スークはミスをし、写真が一枚も撮れていませんでした。

それを知って激怒したドヴォルザークはスークを激しく叱責し、「破門にする」とまで言い放ったそうです。

流石にこんな事で破門されることはありませんでしたが、この件が唯一のスキャンダラスなエピソードとして扱われています。

他の作曲家に比べるとあまりにも平和的なエピソードですが、彼にとってはこれがスキャンダラスなエピソードなのです。